晴れのちマンガ

中年視点でマンガを語るブログ

家族がいても「孤独のグルメ」

一人で出かける用事があった。と言っても、シャレオツな街にインスタのネタを探しにというわけではなく、ショッピングモールに子供の水筒を買いに、である。実に、一家の大黒柱らしい理由である。店を数件回ると、子どもが気に入りそうな水筒が見つかった。これで、子供の機嫌も良くなるだろう。実に、大黒柱らしい気の使いようである。水筒の目星が付いたところで、少し早いお昼にすることにした。ショッピングモールは、多くの人が訪れることから、様々な店が軒を連ねている。何を食べるか悩ましいところである。寿司、中華、和食、ステーキハウスなんでもござれ。朝食を食べていないせいか、なかなか店が決まらないことに、だんだん焦りと苛立ちを感じて始めた。落ち着け、焦るんじゃない。ただ、腹が減っているだけなんだ。自分に言い聞かせていると、ふと、一軒の店に目が留まった。

 

ラーメン屋。

 

ラーメン。そして、ビール。おっさんにとっての黄金コンビ。キャプつばで言う、翼君と岬君。この組み合わせなら、何点とってもおかしくない。ラーメン、君に決めた。店が決まると、気持ちも落ち着き、少し心に余裕が生まれた。きっと、五郎さんもこんな気持ちで毎回、店を探していたんだろうと思い、少しニヤケた。

 

孤独のグルメ」 原作:久住 昌之 作画:谷口 ジロー

 

もちろん、五郎さんとは、このブログ的には、井之頭五郎のことであり、野口や山田ではない(毛利小なら、このブログ的には正解)。そして、いうまでもなく「孤独のグルメ」の主人公である。

 

開店と同時に店に入り、お冷と引き換えに注文したのは、Jインスパイア系のラーメンである。恥ずかしながら、J系ラーメンを食べるのは初めてである。常々食べてみたいと思ってはいたのだが、機会も気概もなく、今まで食べることがなかった。五郎さんも言っていたが、おっさん的には、行列のできるラーメン屋よりも「なっちゃった的な昭和レトロ」感があるラーメン屋の方が落ち着く。味の話ではなく、雰囲気の話である。行列のなか、あわただしく食べるというのが苦手である。

 

いざ実食、食戟、味勝負してみると、うまい。うますぎる。今まで食べたラーメンとは一線を画す味。他で食べたことがないので、この店のラーメンだからうまいのか、J系だからうまいのかは、正直わからない。しかし、うまいという事実に違いはない。味の宝石箱みたいな気の利いたことが書ければいいのだが、如何せん、うまさを表現する語彙に乏しく、 ただただ、うまいと書くのみである(この時点で、グルメリポーターへの転職の道は閉ざされた)。おっさんになると、毎日が同じことの繰り返しになってしまい、なかなか新しいことに出会わない。それゆえに、新しい味覚に出会えるのは、この上ない喜びである。五郎さんも、各地で見知らぬ店を訪れ、新しい食との出会いを楽しんでいるんだと思う。

 

そういえば、五郎さんも太の応援がてら、神宮球場メシを食べてました。ウィンナーカレー。次回の神宮はウィンナーカレーに決まりだな。

 

行列にせっつかれているわけでもないのに、あっという間に完食。この世の全ての食材に感謝を込めて、ごちそうさまでした。五郎さんなら、食後はタバコを吸うところだが、水を一杯流し込んで、店を出ることにした。グルメマンガが増えてきた今日この頃、食事をするたびに何らかのグルメマンガを思い出す。ただのグルメに飽き足らず、異世界やらファンタジーやらホント飽和状態。そんなグルメマンガの原点が「孤独のグルメ」のように思える。そして、谷口先生が描く「孤独のグルメ」がこれ以上読めないと思うと残念でならない。寂しい限りだ。最後に、谷口先生のご冥福を祈り、この記事の締めとしたい。

 

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