晴れのちマンガ

中年視点でマンガを語るブログ

燃えよ「空挺ドラゴンズ」

ボロネーゼを作ってみた。

 

と書いたものの、別にユーチューバーになったわけでも、ジローラモになったわけでもない。むしろ、陽気なパンツェッタにはなりたい気もするが、単に、夕飯を作っただけである。普段は奥様に作っていただいているので(いつもありがとうございます。この場をお借りしてお礼を申し上げます。)、割と久々の料理となった。皆様ご存知のように、現代は非常に便利な世の中で、料理本を見ずとも、ネットで検索するだけで、簡単レシピがあっという間にヒットする。ゴルゴも真っ青のヒット数。これなら、不器用なおっさんでも、茄子と豚ひき肉、調味料があれば、後はちょちょいのちょいである。ボロネーゼをちょちょりながら、僕は一つのマンガを思い出した。

 

空挺ドラゴンズ」 桑原 太矩

 

空挺ドラゴンズ」は、空飛ぶ龍を獲って食うマンガである。実にシンプル。豚とドラゴンの違いこそれ、同じ肉料理を作っていたことが、僕にこのマンガを思い出させたのかもしれない。「空挺ドラゴンズ」との出会いも、至ってシンプル。稲の品種でいうところの、ひとめぼれ。魚屋でいうところのシャケ買い。いつものように、本屋のマンガコーナーをねりねり歩いていると、つぶらな瞳に飛び込んできたのが、「空挺ドラゴンズ」である。

 

蒼き衣を纏いた青年が、紅き龍を討たんとす。

 

っていう感じに、表紙が風の谷のナウシカしてた。ナウシカなう。そりゃあ子供の頃、ナウシカや魔女宅で育ったアムラーならぬハヤオーとしては、惹かれるのは当然。買わないわけにはいかなかった。ジャケ買いのため、表紙以外の情報はなかったものの、買ってみて正解。絵柄は、当然ながら文句なしにおっさん好み。内容も、大好きなグルメ+ファンタジーマンガとくればハズレのわけがない。マンガをマンガで例えるのも、どうかと思うが、「ダンジョン飯」を想像してもらえるとわかりやすいと思う。

 

獲って、焼いて、喰う。たったこれだけのことなのに、とにかく美味そう。おっさん的には、マンガは凝った料理よりも、シンプルな料理の方がおいしそうに見えるんだな。たぶん、シンプルな分、美味さが容易に想像できるから。ハイジのチーズや、ギャートルズのマンモス肉も同じ原理だと思う。レシピを簡単に検索できる現代においても、味、音、香りをマンガで表現するのは難しい。いつの日か、VRマンガのようなものができたら、味を再現できるようになるのだろうか。興味深いところである。なにわともあれ、「空挺ドラゴンズ」は、おっさんに龍を食べてみたい気持ちにさせ、「燃えよドラゴンズ!」を口ずさませる、なんとも不思議な魅力のマンガである。ちなみに、嵐のなか、光る龍に遭遇するシーンは、ラピュタを彷彿とさせた。無論、ハヤオーを喜ばせたことは言うまでもない。

 

ちょちょってたボロネーゼは、最後にバジルをふりかけ出来上がり。なんとなく、トニー・クロスビーの顔を思い出しながら、ボロネーゼをおいしくいただきました。ちゃお(月間)。